動物病院 其の2
(小野山先生のこと)


 田舎に住んで3年半。
こんなにいっぱい原っぱも草むらもあるけれど
クッキーもキャンディも散歩にはでられません。
もう、怖いダニはごめんです。
大阪でさえ原っぱで走り回れたのに。
時々隣町まで出掛けては歩かせていますが
ふだんの日は庭を駆け回るだけ。
それに住んでいる田舎には、動物病院もありません。
買い物も隣町まで行くのです。

 ある日、いつも買い物に行くのと反対側の隣町へ行ったときのこと。
帰り道、いつも甘えるキャンディがヤケに大人しい。
ルームミラーを見ると、後ろの座席でじっとしてる。
いつもなら、まるでヤンキーのような格好で運転手さながら前を見てるのに。
「どうしたのキャンディ、あんたが大人しいと気味悪いよ。」
なんて言いながら、ちらちらミラーを見る。
やっぱり変。
車を止めて振り返ると、顎をついてぐったりしている。
これは大変!
早く病院に連れて行かなくっちゃ。
ああ、何と今日は反対側へ来てしまった。
田舎に帰ってきてからお世話になっている病院までは
我が町を通り過ぎてさらに30km。
ここからだと40分jくらいかかるはず。
何て遠いんでしょう。
そう言えば、さっきの町にも動物病院があった。
引き返せば5分くらいのはず。
どんな病院だか分からないけれど、緊急の場合はそんなこと言ってられない
と、震える手で車を走らせた。
 
 Uターンしてはじめて行ったその病院が小野山動物病院です。
「どうされましたか?」と尋ねてくださるその言葉は、イントネーションが違う。
但馬弁の、何とも暖かい響き。
この先生が小野山先生です。
「いつもはやんちゃなのに、元気がないんです。」
そうですかと先生は聴診器を。
何度も何度も。
先生は気の毒そうに、「この子は心臓が悪いですね。」
え?と驚く私に
先生は丁寧に図を見せて、ここがこんな風に悪いと。
マルチーズの場合、半分ほどがこの病気に掛かってるんです、とも。
それからいろんなお話しを。
ショックを受けている私のことを気遣ってのことです。
後のお話しの内容は、はっきり言ってあまり覚えていません。
お薬で、進行を遅らせることが出来ると言うこと以外は。

 それから、ず〜っと小野山先生のお世話になっています。
だって、車で病院に着くと
クッキーもキャンディも、早く降ろせと吠えるんです。
そんな病院、今まで知りません。
着いたとたんにガタガタ震えて、降りたくないと言うのはありましたが。

小野山先生のところではペットホテルもあって
時々お世話になりました。
小野山動物病院は
預けられたり、痛い目に遭わされることもあるのに
それでも2匹が行きたがる病院です。

 キャンディなんて、お耳触られるの大嫌い。
それでも、垂れ耳で髪ふさふさだから、お耳はときどき診てもらわないといけない。
そりゃもう、必死で抵抗します。
だっこして押さえてる奥さんは大変。
最後には、口を包帯で縛られて観念します。

 夜遅くお世話になったこともありました。
キャンディが、前足突っ張って悲鳴を上げるのです。
抱こうとしても痛がります。
どうしたんだろう。
そう言えばさっきやったアキレスがない。
飲み込んだんだ。
クッキーのは?
クッキーのもない、二つとも飲み込んだんだ。
主人と二人大慌て。
小野山先生に電話すると、すぐに連れてきてください。
吐き出すように注射してくださって、一件落着。
帰る頃にはすっかり元気。
「こんな小さい体で、こんなもの2つも丸飲みしたら、苦しいですよ。」
先生は笑ってらしたけど、私たちは恥ずかしかったよう。
ホントに食い意地の張った子で。
小野山先生は夜遅くても
いやな顔一つせずに診て下さるんです。

 クッキーは診てもらうのも、じっとしててお利口さんです。
我慢には慣れてるんです。
いじらしいほど何されてもじっとしています。
手術をして貰った事もありました。
一晩入院で、よく頑張ったね。
そう言えば
クッキーの爪は黒くて血管が見えないので
自分ではかわいそうで切れません。
「先生、私は恨まれるのイヤだから、先生切ってやってください。」
と頼むと
先生は苦笑いしながら切ってくださいます。
それでも好かれる先生なんですね。
やさしいんです。
それに一番大事なこと、動物がとっても好きだって事です。

日曜日も診察があるんです。
連れていけないペットには、往診もあると人に聞きました。
そう言えば「小野山動物病院」と名前の入ったかわいい車。
あれが往診用に違いない。

 「先生は旅行できないですね。
二人で出掛けられることあるんですか?」
って奥さんに聞いたら、笑って小野山先生の方を。
小野山先生が「ないですね。」って。
まぁ、毎日がデートのようなものだから。

 この小野山先生のところで、トリミングもしてもらえるようになりました。
「この辺りは、美容院がなくて困りますね。」って話してたんです。
車で3〜40kmは走らないといけないって。
そうゆう患者さんの希望を叶えてくださったんですね。
15分でいける小野山先生のところは嬉しい限りです。
トリマーさんは若くてかわいい女性。
上手にかわいい顔にカットしてくださるんです。
どんな風にかって言うと
この「クッキー&キャンディ」のコーナーの「こんな子達」のページに写っています。
2匹一緒に写っているのがそう。
この2匹、写真嫌いで撮るのが大変。
でも上手く写せました。
もう見ていただけましたか?
かわいいでしょ?



 小野山先生の所は、
動物病院はこうあるべきと言う見本のような病院と、私は思っています。
動物だけじゃなく、飼い主まで診てもらってるような気がします。
田舎へ帰ってきて良かったなって思えることは、まだまだ少ないのですが、
小野山先生に出会えたことは、帰ってきて良かったなと思えることのトップ10に入ります。

                                          2001年6月21日



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