ほらこ〜んなに仲良し!


 クッキーは、いつも叱られてばかりだったようだ。
「とにかく悪いことをしたら、前足をくわえさせ、顎を思い切りスリッパでたたき上げてください。」と、元飼い主に言われていた。
クッキーはとてもおとなしい子で、言う事をよく聞いたので、
叱ることはほとんどない。

例えば私たちの食事の時間には
何も教えなくても隣の部屋でじっと待ってる。
欲しいとも言わない。
散歩させてもよその犬とけんかするわけでもない。
人を噛むわけでもなく、粗相するわけでもない。
私たちにはクッキーはとても良い子にしか見えない。
首輪をしたこともなく、お座りも教わってないのに、何を叱られていたんだろう。
それを思うと、かわいそうで仕方ない。

 うちへ来る前に、色々な人のところをたらい回しにされたのだそうだ。
ある人のところでは、腹を立てた仮の飼い主がクッキーを地面にたたきつけ
死にそうになったので返しに来られたんだそうだ。
またある人のところでは火事になり
クッキーを残して他の犬たちだけつれて逃げられたそうだ。
それでやっぱり元飼い主のところに帰り
困った元飼い主がボランティアの人に頼まれたわけ。
 うちへ来て7年半。
クッキーはホントに幸せなんだろうかと考えるときがある。
私達はこんなにかわいがってるもの、って思うけれど、
首輪もなく好きなときに外に出ていた頃の方が良かったんじゃないかって。
車の多い都会の街中で、クッキーはたくましく生き抜いていたのだ。
今、私のそばでお正月用のリボンを付けて、ホット座布団の上で寝息を立てて寝ている。
 
 取りあえずお座りを教えようと、食事の度にお座りをさせた。
無理矢理お尻を押さえつけ、頭を撫でて誉めてやる。
2歳を過ぎていたので、ずいぶん長い間かかったけれど
それでもクッキーはお座りが出来るようになった。
次はお手。
これも修得。
次は待て。
これがなかなか難しい。
これを修得したのはキャンディが来てからだった。

 とにかく叱られ慣れしてるクッキー。
私達がちょっと声を荒げただけで、しっぽを丸めすごすごとケージの中に入ってしまう。
私達は、結構仲の良い家族のように思っているが、
それでも時にはケンカもする。
そんなときは、しばらくケージの中から出てこようとしない。
でも「犬はかすがい」とはよく言ったもので
そんなクッキーを見ると私達はすぐ反省してしまうのだ。
 よく息子とディスカッションをした。
ディスカッションしていて、熱くなってくるとクッキーがすごすご。
一番心配するのは息子。
クッキーがかわいそうって一生懸命。
「クッキー、クッキー!ごめんごめん。大丈夫だから出ておいで。」
それでもクッキーは出てこない。
「クッキー、ケンカしてるんやないよ、出ておいで。」
20歳を過ぎた息子が私に抱きつき、
「お兄ちゃんとお母さんは
ほら、こ〜んなに仲良し!

 
                                            2000年12月27日



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